お母さんによる読解指導のアドバイス

先日の保護者会で私が話をしていて、一番保護者の方々のメモが進んでいたのが算数の部分だったのですが、同じくらいメモ書きが進んでいたのが国語についてのアドバイスをしていた時でした。「結構国語も時間を取られているのだなぁ…」と感じ、いくつか子どもに対する「声掛けの方法」をご紹介することにしました。もし、ご自宅でお子様が読解問題を解いているときに思考停止状態になっていましたらご活用ただければなと思います。

 

まず、「なぜ読み取れないの?そのまんまかいてあるでしょ!」といった類の声掛けは厳禁です。国語は本文中に答えが書いてあることがほとんどの科目であるため、できる人ができない人を見ると感じる不思議度具合は、他の科目より大きくなるものです。そのまま書いてあることが読み取れないから困っているのです。問題を解決させるために、つまずいているポイントを的確にとらえ、正解という道に戻すテクニックがいくつかございますので、ごく簡単なものだけまとめてみました。

 

(保護者会で話をさせて頂いたのは、「ゴールの部分を先に考える」ということと、「選択問題は2択にしぼる。小さな間違い、ほころびを見つける」の2点だったかと思います。今回はそれに加え、文学的文章の場合と説明的文章の場合に分けて、いくつかご紹介します。)

 

文学的文章の場合

 

1、場面を思い浮かべなくなっている場合

 これは文章を映像化できていないので、イメージを順序よくふくらませる必要があります。そのためには、次の方法で声をかけましょう。

 

 目に見えるもの(視覚情報)を聞く。→耳に聞こえるもの(聴覚情報)を聞く。→肌に触るもの、雰囲気(触覚情報)を聞く。

 

大変わかりづらいので、例をあげましょう。

 

子「この問題わからない。」

母「この問題はどんな場面なの?」

子「……」

母「じゃあ、この主人公には何が見えている?」

子「川、野球している子達、それから先生。あと夕日」

母「じゃあ何が聞こえている?」

子「野球している子達の声というか、野球の音と先生のセリフ」

母「うん。じゃあ主人公が触れているものは?」

子「触れているもの?」

母「そう。何を触っている?」

子「えー…草と洋服とー、風とか?」

母「どんな雰囲気?」

子「雰囲気?えーっと……」

母「うれしいとか悲しいとか…」

子「なんか悲しい…っていうかなぐさめられている」

 

ここまでくればかなり場面をイメージできています。夕方、河川敷で先生と話している主人公が見えてくるはずです。目に見えるものは最も単純なので、わからないこどもでも答えやすい質問であり、逆に雰囲気などはもっともわかりづらい(書いていないから)質問なので後まわしにする必要があります。ちなみによくある「いつ、どこで、だれが、どうした。」を聞いても答えられない場合の方が多いです。その基本事項を聞かれてもわからないからこそ悩んでいるので、もっと大まかに聞いていく必要があります。この方法であれば、国語が出来ない子でも答えられるはずです。これができれば情景の映像化、そして場面転換はクリアできます。

 

2、心情がわからなくなっている場合

 これは表面上の気持ちというよりは隠された気持ちが読み取れていない場合が多いので、読み取りの難しい順番にチェックします。次の方法で確認してあげてください。

 

 セリフの前後に注目できている(線を引いてある)かチェックする。→地の文(心の声)に注目できているかチェックする。→セリフに注目できているかチェックする。

 

セリフの前後は登場人物が言葉を発するときの表情や動作、気持ちが書かれている場合が多いのですが、意外とこどもは読み取れません。近くにあるセリフに目がいってしまっているためです。

たとえば、

 

「わかってるの!?」

先生は顔を真っ赤にしながら大きな声で叫んだ。

でもやったのはわたしじゃない!誰がやったのかはわからないけど…とにかく私じゃないのに!

「だまっていないでなんとかいいなさい!」

ああ、もうなんだかめんどくさくなっちゃった…反論する元気もない…

「…わかりました。すみませんでした。」

鈴子は唇をかみしめながらつぶやいた

 

わかりやすく極端な例を挙げてみましたが、この文章からわかるとおり、セリフの前後を見ると表情から登場人物の心情がしっかりと読み取れます。このようにしっかりとセリフの前後に目を向けられているかをチェックしてみてください。

また、地の文とは(  )の中や―(ダッシュ)の後に書かれた心の声のことです。

たとえば、

(うまくできるかなぁ。)→不安

―お父さんなんてキライだ。→強意

といったものです。声に出せない気持ちは、特に問われやすい部分です。

 ただ、それ以前にセリフに注目できていないのであれば、これは警告ものです。目立つ形になっているので読めないというよりは、読まないに近いでしょう。叱ってもよいポイントです。

 

物語文のポイントは情景と心情であるので、この2点で声掛けをしてもらえれば、ある程度ご家庭でも対応できると思います。逆にこの2点で対応できない問題は読むことよりも解き方に問題があるので、そこは私達にお任せください。

 

 

 

説明的文章の場合

 

1、話が難解で読み進められない場合

理科系の文章や哲学的な文章等の場合だと、話が難解で読み進めることさえできない場合があります。そんなときは…

①表現が難しく、一部分がよみとれていない場合

 

ひっかかっているポイントを聞く。→そのポイントまでに何度も出てきているフレーズ、語句を聞く。(話題をとらえるための声掛け)

 

②全体的に話がわからなくなっている場合

 

 「~でしょうか。」「~だろうか。」などの問いかけや、「~について」「~の問題」などの提示表現を読むよううながす。→「すごーく、かんたんに言うとどういうこと?」と聞いてあげる。(問題提起部分を意識させるための声掛け)

 

 両方とも似たような結果となる声掛けですが、つまずいているポイントが少しずれているので、聞き方に注意が必要です。①は一部分がわかっていないのであって、それが解消されれば、読むことができる可能性が高いので、それ以上の手助けは必要ありません。対して②は全体的に話がわからず、少し投げやりになりかけている可能性があるので、「ただそのフレーズをみつけるだけ」の質問にランクをさげます。(文中用語ではなく、単に言葉をさがさせるための声掛けです。)

 話題がわかれば、木の幹部分をとらえていることになるので、枝葉を探し始めて迷ったとしてもスタート地点に帰れるようになります。段落のはたらきや、段落ごとのつながりを意識させる効果もあります。

 

2、筆者の主張がわからない場合

 説明文は大きく分けて話題、意見(主張)、具体例の3つに別れます。話題の見つけ方は1の方法で良いですが、主張部分はなかなか見つかりません。選択問題でも記述問題でも問われやすいのはこの部分であるため、わからなくなる場合が多いのです。そんなときは…

 

 具体例をあげているポイント、段落、文はどこかを聞く。→(わからない。)→接続語「たとえば」がないか聞く。もしくは土地、日時、名前、生き物、物、数字、単位(話題に合わせ削っても良い)が出てきているところはどこかを聞く。(それ以外の部分が筆者の主張)

 

 主張部分を見つけさせるより、そうではないところを省く方がこども達にとっては簡単なのです。消去法ですね。この聞き方であれば、頭がショートしてしまっている子でもなんとか対応できるため効果的です。

 

説明文に関しては、大人が読んでも難しいと感じる場合があり、これ以上のテクニックはお母さんが話を完璧に理解していないと使えないテクニックになります。ここまでのものであれば、問題文をぱっと見て質問できますので、家事をしている最中でも大丈夫です。

 

さきほども書きましたが、これらを駆使してもわからない問題は、私達にお任せください。記述の書き方や選択問題の取捨はお母さんが担当するには少々骨の折れる作業です。宿題をやっているこどもの手が止まっているときに、やるようにうながすきっかけとしてお使いください。

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