13期生の受験を終えて〜過程〜
まだ結果待ちの学校がありますが、2月5日の受験を持って13期生の受験は一応の区切りとなりました。
※合格校はこちらのページから
まずは子供たち、そして最後まで付き添っていただいた保護者の方々、本当にお疲れ様でした。23名全員が第一志望合格、とはなりませんでしたが、今年も「選択肢を増やす」という形でいく学校を確保できたことは本当に良かったなと思います。
満足している子、家庭ばかりでないことは重々承知しております。何より私が満足できていませんし、「合格できただろう」「もっと届いたはずなのに」と悔しい想いでいますから。
不合格の連絡を本人がしてくれた子もいました。それだけでもすごいなと思います。今年の総括ではちょっとここにフォーカスして見たいなと思います。
「落ちちゃいました。……なんでだろうなぁ」「ダメでした。できたと思ったんですけど」と呟いた子もいます。手応えあったのだと思います。でも受験は誰かとの競争。受験は他人と競争するのではないという人もいますが、私はそうは思いません。本人たちが出し切ってしっかりとした手応えを感じていても、その時自分よりもより高い点数をとった子達で定員が埋まってしまえば、不合格となるのです。どれだけ取ればいいかわからない中での戦いなので、スポーツよりも厳しい面があるかもしれません。受験は他人との競争です。そこに入学できればその子達は友人となれますが、入試の最中は明らかにライバルです。周りよりも高い点数をとって席を確保しにいく行為です。これはずっと言い続けてきたことですね。自分の能力とこれまでの努力ではその学校は届かなかった。まずはそれを受け入れることが大事。そして周りの大人は「そこで悔しい想いをした分、次のステージでリベンジしよう!」と言うでしょう。しかし、今そんなことを考える必要はない。まずはご縁のあった学校でしっかり楽しむこと。何よりもこれが大切。悔しい想いを忘れると言うことではありません。それはどこかに持っておいていいのですが、それに囚われて自分のいる場所をバカにしたり、卑下することは決してしないように。自分の品格を貶める行為です。いつまでも中学受験なんてちっぽけなものから解放されず、過去にこだわり続けている人間がこの先何か大きなことを成し遂げたり、自分が憧れた場所にたどり着いたりするものでしょうか。自分のいる場所を十分に楽しんで、頑張るべき時に頑張れる子がまた新たなステージに進めるのです。
第一志望で不合格をとった後、お母様に連れられてやってきた子がいました。午後受験を控えていた2月某日の午前中のことです。シクシクと泣きながら、
「自分は〇〇ちゃんみたいに頑張れなかった」
「自分は◻︎◻︎を言い訳にして結局勉強しなかった」
と自分の今までを後悔していました。多かれ少なかれ、特に合格を得られなかった子はそう感じるものでしょう。仕方のないことです。その後その子は、
「落ちたらこんなに悔しいって知らなかった」
と泣いていました。正直これまでの講師人生の中でもなかなかに心にズンときました。色々なケースを言葉で伝えても、それなりに経験のある大人であれば分かるかもしれませんが、経験のない子供には伝わりません。この子が早くから本気になれなかったのはもちろんその子の人生ですから本人の責任ではあります。しかし一方でそのきっかけをこの子には与えられなかったのではないかと、私の心の中に、とんと残っています。多分一生忘れない言葉であり、子供の様子だなと思います。
この話を子供にしても、やはり多くの子には伝わりません。そこをくぐっていない子供にはイメージできないものです。それでも、せっかく中学受験というものをしてみるのであれば、しっかりと本気になって目標達成のために自分なりに行動してもらいたいと思います。
偏差値の高い学校に行かないのであれば、中学受験なんてする必要がない。悪だ。という人もいます。思うことも表現することもその人たちの自由ですからそれはいいのですが、やはり私はこの考えは真っ向から否定したい。壁を乗り越える権利はどんな子でも等しく与えられるべきだと思います。その壁の高さ、厚さはさまざまであり、皆が同じものにする必要はありませんし、大人だけが躍起になるのであれば、それは本人のためにはならないのでやるべきではないと思います。しかし、その壁の高さや厚さに序列や優劣はないのです。その子にとっての乗り越えるべき壁は皆等しく素晴らしいもので、そこに優劣はなく、序列もないのです。
勉強が好きでない、でも受験はしたいという子は多くいます。何度確認しても、何度やめようと親に言われても受験はしたい子はいるのです。そんなに不思議なことでしょうか。痩せたいけど運動はしたくない、食事制限もしたくない。そんな大人は大勢いるでしょう。子供は経験がないから何となくその時がきたら合格できて志望校に入れるとどこかで考えていたりもします。幼いのです。でもそんな小学生も大半はどこかのタイミングで本気になります。早めに気づいて努力をし続けられる子もいれば、あまりに遅すぎた……と言わざるを得ない子もいます。でもそれぞれのその経験は人生の中で決して無駄じゃなく、むしろ糧となると思っています。
これから先、子供たちが何を見て、何を聞いて、何を感じて、何を考えるか分かりません。いいことも悪いこともあるでしょう。少し道を外れたり、立ち止まることもあるでしょう。一つ一つの経験がその子自身を作っていき、やがて大人になっていくわけで、中学受験で壁を乗り越えようとしたその過程はその子のアイデンティティを形成するパーツになるはずです。受かった子も落ちた子もこの上で立ってまた積み重ねていってもらいたいなと思います。
受験を終えた子たちそれぞれに後悔があるかも知れません。この先の人生においても「やり切った」と言える経験はなかなかないもので、今回もし「やり切った。悔いはない」と言えるのであればそれは貴重な経験ができたと言っていいでしょう。全てを出し切るというのはそれだけ難しいことなのです。今回君たちのこれまでの経験の中では大きな壁を乗り越える経験ができたと思います。それでも本当にやりきれたのか、もっとできることはなかったのか、この先どう活かしていけるだろうか、そういうことを一つ区切りがついた時に考えるようにして見てください。それが君たちを大きく成長させることにつながるはずです。常に自分のこれまでを見つめ直し、自分をこれからをどう描くのかを考える。過程が大切とはよく言いますが、大切にする方法はなかなか教えてくれないものです。今回はとてもいい機会になるはず。この先の中高生活を充実した楽しいものにするために、一つこの受験勉強生活を振り返ってみてもらいたいなと思います。
自分の行く学校に誇りをもちなさい。他人の行く学校を貶す人間には決してならないように。そんな人間がもしいたら相手にしてはいけない。時間の無駄です。
偏差値表は受験したその時まで。この先には関係ありません。捨てなさい。自分の今いる場所を見つめなさい。
勉強でも趣味でも部活でもいい。何かに打ち込みなさい。何でもまずはやってみなさい。他人がハナから無駄だと切り捨てるものにも価値を感じられる人間になりなさい。
嫌なことがあって、乗り越えられそうになかったら必ず他人を頼りなさい。君がすべてだと思っている世界は他人から見たら本当にちっぽけなものです。親でも先生でも友達でも私たちでもいい。誰でもいいから必ず頼りなさい。人間自分だけで解決できるものなどそうそうないのです。
何かあったら、いや無くても、いつでも寄ってください。君たちがどう過ごしているのかを知ることが私たちの大きな楽しみだから。
お父様、お母様、本当にお疲れ様でした。数多ある塾の中で小さな小さな個人塾を選んでいただき、そして最後までお子様を預けて頂いたこと、感謝申し上げます。これはお父様お母様にはには決してわからないことだと思いますが、この子達との授業、本当に本当に楽しかったです。ここにいる間は親子以上の濃密な時間を過ごさせていただきました。その機会を与えてくださったこと、重ねて御礼申し上げます。
この先ご不安な点も多々あると思います。大抵その不安は的中します。でもそれでも少しずつ大きくなって気がつけばどうにか自分で自分を立たせるようになっています。それはこれまでの卒業生を見ていて感じる確かなことです。まだしばらく大変な時期が続きますが、それまでどうにか頑張ってください。どうにか頑張れそうにない時はいつでも連絡ください。何ができるか分かりませんが、動いてみます。
13期生のみんなとはスタートアップ講座でもう少しだけ授業をすることになります。遊んでもいいし、休んでもいいのだけれど、やることはしっかりやろう。USJ卒業旅行もしっかり計画しています。皆で楽しみましょう。
受験、本当にお疲れ様でした。よくがんばりました。これからも頑張れ!
中学受験指導塾 應修会
塾長 茂山起龍